ODDDS MASTERS GRANDPRIX 2018
JRAの馬場情報がこの夏一新。
新たになったデータをベースに、馬場状態と血統、脚質、
展開の関係を明らかにし、5人の馬場読みの達人が
新たな予想トレンドを伝授します。
三宅誠(競馬天気編集長・気象予報士)
三宅誠 (競馬天気編集長・気象予報士)
馬場状態と
気候の関係を紐解く!
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妙味のある季節馬を科学的に抽出
私はJRAが発表する馬場レベルを独自な方法で仕分けすることで各馬の馬場適性を導いて予想に役立てています。また、レース時の気温を特定、競走成績と紐づけたデータベースを活用して馬券的に妙味のある季節馬を科学的に抽出しています。
馬場状態を正確に読めたら、あの馬券も、この馬券も取れたのにと思うことはないでしょうか?私は、馬場レベルの把握は馬券に直結すると思っています。時計が出る馬場か、要する馬場かを特定してその適性を大きなファクターとして予想します。冒頭に触れました仕分けですが、JRAの馬場分類を4→7に仕分けしています。積算雨量などから、良~重を「水分量」でそれぞれ2つに分類しています。特に使えるのは良馬場です。良馬場の出現率(2017年集計)は芝で81%、ダートが64%と非常に大きいため、ここの馬場の分類が肝となります。良でも稍重に近い馬場だったレースを特定することで、馬場適性の判断材料のひとつになります。ひとくちに、良馬場といっても、稍重に近い馬場では時計の出方が異なってきます。時計比較において、この馬場の違いが問われるのです。
JRAと三宅誠氏の馬場出現率の比較イメージ
世界の馬場分類は各国様々です。日本の4分類は世界的にみて少ない方です。もっと細分化した発表があれば、競馬をもっと楽しめるはずというのが私の持論です。そんな私の思いが通じたのか、JRAは新しい馬場発表をはじめました。新たな馬場カテゴリーの発表までは踏み切れなかったと聞いていますが、その代わりに従来の馬場発表に加えて、含水率を発表。それぞれの馬場の状態把握に迫れるようになりました。スタートしてまだ数カ月で、定性的な評価はできませんが、馬場発表をいままで通り尊重することが大切です。それを踏まえて参考値として含水率を捉えて活用しましょう。
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馬場の仕分けによってその適性を明らかに
8年余りの馬場仕分けの経験から含水率を参考に良馬場でも水分が多い状態かどうかを探りたいと思います。含水率の表示で良馬場レンジの下端になるほど水分が多く、稍重に近い馬場(良/水多)と捉えます。芝・ダート問わず良レンジの下1/4位=オレンジ色で示した部分です。それより上は比較的乾燥した状態(良/水少)と捉えます。一方、含水率については、毎回同じ地点で土壌を採取、数値を発表されていますが、その値はダートに比べて芝の方にバラツキが大きい印象です。降雨がない限り、含水率は下がっていくもの(上がらない)と素直に捉えるのが良いと思います。
JRA含水率表示に良/水多しレベルを示した図
気温と乾燥時間の関係図とレースイメージ
含水率の発表は現状開催当日の早朝一回なため、そこからの馬場読みは自分で行うこととなります。悪化は積算雨量次第、良化の速度は気温の影響が最も大きく、次いで日射・風の要素で変ってきます。乾燥した馬場状態から目安として「天候・雨」が2・3レース続くと稍重に近い(良/水多)レベルに到達します。良化の方向は、稍重から良に変わってから、数時間は水分が多い状態(良/水多)が続きます。気温により乾いていく時間が異なり、夏は短く冬は長くなります。
11・12月は気温低下で野芝の成長が止まり、次第に洋芝が主体となってきます。夏の野芝開催で道悪でも時計が出るケースはありますが、この時期になると馬場レベルの低下に応じて時計を要してきます。夏競馬からの時計の出る馬場で好走を続けた馬より、時計を要する馬場で活躍したことのある馬の台頭が狙い目です。特に開催替りの12月からはその傾向が強まります。夏でも時計を要する洋芝が得意な馬はこの季節に通用します。ダートは稍重→良/水少まで回復するのに夏は10時間程度ですが、冬では丸一日時間を要します。当然、水分が多く脚抜きが良い状態が長く続きます。特にダートでは稍重に近い良馬場をつかむのがとても大切です。時計の出方が違い、求められる馬場適性が違ってくるからです。2010年のカペラS(GⅢ)などダート重賞9勝のセイクリムズンが代表例で良/水少[8-2-4-7]では無類の強さを発揮したのに対して良/水多[0-0-0-2]では着外のみ、特に冬のパサパサのパワーを要する馬場が得意でしたが、馬場の仕分けによってその適性を明らかにできた典型例です。また、どこにもないデータゆえに、人気馬の死角や穴馬の抽出に役立ち、高配当を得るチャンスが広がるのは言うまでもありません。
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12月は一年越しの激走も期待
12月に入ると寒波襲来、初霜・初氷など冬の便りが都市部でも聞こえてきます。このあたりから冬毛の馬が目立ってきます。私は12℃未満のレースを「寒」と規定していますが、12月中旬~3月初旬がそれにあたり、丁度冬毛の時期と重なります。季節馬の激走を狙うのは、寒のレースが出現する頃が、絶好のタイミングとなります。もちろん、真冬のレースでも狙えますが、気温が急に低下する、季節の変わり目で台頭が著しい傾向にあります。夏から秋に凡走を繰り返した馬が一変、一年越しの激走も期待できます。晩秋にあたる11月も冷え込んだ週末は冬馬の先物買いが通用、大波乱の立役者になることが度々あります。具体的に冬馬を狙う方法は、「寒」の気温成績と「冬」の季節成績は比較的近いので、冬(12~2月)成績に着目して激走馬を抽出します。好走が冬に偏っている、夏と冬の成績を比較すると夏の凡走、冬の好成績が目立つ馬等々、人気はもちろん無いことが前提となります。
ここまで話を進めてきましたが、馬場状態と気候的な背景が密接に関係していることに気づかれた方も多いと思います。私も予想する上で、それぞれの適性が重なった馬を積極的に推すことに決めています。馬場替り、気候変わりで決まったように変わり身を見せる馬の台頭も競馬の大きな魅力のひとつです。
私が編集長をしています「競馬天気」では馬場を良/水少・良/水多・稍重/水少・稍重/水多・重/水少・重/水多・不良、レース時の気温で寒・涼・暖・暑・酷暑にそれぞれ7分類と5分類に仕分けしてデータベースを構築しています。
PROFILE
三宅誠
季節馬の激走を体系だって明らかにした気象予報士。レース気温のデータベースを構築、データ分析によって穴馬を導き出すまったく新しい競馬理論。「スポーツ気象」の分野でパイオニア的な存在、スポーツ中継で新しいコンテンツを生み出し、テレビ素材として幅広く浸透している。
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